昨年11月に行われたダンスの統一全日本選手権=東京都内のホテルで(月刊ダンスビュウ提供)
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国際オリンピック委員会(IOC)がこのほど五輪開催都市に種目追加の提案を認めたことで、社交ダンスで競うダンススポーツが二〇二〇年東京五輪での採用に名乗りを上げた。ただ、国内男子リーグが二つあることで国際連盟から改革を求められているバスケットボールと同様に、ダンス界も複数ある団体の足並みがそろっていない。五輪という目標をきっかけに協調できるかが注目される。
国内の社交ダンス人口は、専門誌によると二百万人。競技以外にも中高年に広く生涯スポーツとして親しまれている。日本オリンピック委員会(JOC)加盟団体で日本ダンススポーツ連盟(JDSF)の鵜飼慶司常務理事は「既存の体育館でできるので開催しやすい。五、六年後は(メダルを)取れるチャンスはある」と力強い。JOCには、昨年末に総合大会での開催実績などを紹介する資料を送付した。
日本にはアマチュア主体で発展したJDSFの他に日本ボールルームダンス連盟(JBDF)など複数のプロ団体があり、採点法に違いがあるなどファンでなければ分かりにくい状況がある。愛好者で日本プロスポーツ協会会長の島村宜伸元農相は、五輪を狙う上での課題を「まずプロが一つになる団結。もう一つはプロとアマチュアが本当の意味で融合すること。これをきちんと図らなければ、いつまでたっても駄目」と指摘する。
専門誌ダンスビュウの森田康夫編集長は「プロもアマもできることは協力してもらいたい。裾野を広げることで競技を本格的にやろうとする人も増える」と提言した。
◆「全日本」の危機
ダンス界では昨年、プロ三団体の選手が参加する国内最高峰の統一全日本選手権をめぐり、選手の参加を認めない団体が出るなど混乱した。大会直前に撤回されて事なきを得たが、今後は未定。金光進陪(しんすけ)選手は「高いレベルで競技できる大会がなくなれば損失。一丸となってダンス界を盛り上げたい」と訴えた。
島村会長は「ダンスは伸び伸びと晴れやかに踊ってこそ。その精神にのっとってやってもらえれば解決できる」と私心を捨てた団結の必要性を強調する。金光選手は団体の垣根を越えた選手会による舞台を二月にプロデュースし、現場から融和の可能性を発信することで事態打開につなげたいとしている。
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